(2)自排尿型新膀胱造設術は、60センチほど切り取った回腸で新しく膀胱をつくり、尿管、尿道とつなぎ合わせる方法だ(イラスト参照)。手術には時間を要し、膀胱摘出からさらに4~5時間かかる。自分の尿道が使えるためストーマは不要で、普通の排尿ができる。しかし尿意を感じることはなく、排泄のコントロールができるまで訓練が必要になる。また、膀胱の出口の尿道近くにがん細胞がないこと、術後の補助療法が不要であること、管理をしっかりできることが条件となる。

 普通の排尿ができるのはメリットだが、腸を使った代用膀胱は分泌液が多く、2、3日に1度の膀胱洗浄が必要になる。また将来、寝たきりなどで自己管理ができなくなると、家庭の介護者では管理しきれないこともあるという。

 (3)尿管皮膚瘻造設術は、尿管をストーマに直接つなげる方法だ。手技的にはもっともシンプルな方法だが、ストーマの開口部周辺が徐々に狭くなることがデメリットで、広げるために専用の器具を入れることもある。最近は、全身状態がよくなく、長時間の手術に耐えられないなどのケースにしかおこなわれないという。

 手術には開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援手術があり、開腹手術がもっとも多い。ダヴィンチによるロボット手術では、腹腔鏡では難しかった尿路変向術の腹腔内での手術が可能になった。出血量も少なく、術後の回復も早い。今後は手術の主流になっていくだろう。
「尿路変向後はしっかり管理する必要がありますが、生活の中で慣れていくものです。医師とよく相談して、ベストな変向術を選択してください」(白木医師)

 膀胱がんの特徴の一つとして、再発のしやすさが挙げられる。

 筋層非浸潤性の場合、TUR-BTのみでは約5割の膀胱内再発率だ。再発がんが筋層に浸潤していなければ、TUR-BT+膀胱内注入療法での再発予防治療を受けることができる。

 しかし筋層浸潤がある場合や、BCG膀胱内注入療法をおこなっても再発する場合は、膀胱全摘除術が考慮される。

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