コロナ禍が生んだ数少ないプラス面。それは通勤せず家で働くテレワークの普及だ。結果、都心から移住を検討する人が増えている。AERA 2020年8月10日-17日合併号は「コロナ移住」を特集。
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「移住したい」
「コロナで住む場所を考え直しました」
「リモートワークするので」
「とりあえず2拠点目を探している。しばらく行ったり来たりしながらやって問題なければシフトしたい」
4月以降、不動産を直接売買できる掲示板サイト「家いちば」にはそんな書き込みが相次いだ。3月まで月間100万PVほどだったのが、5月には1.5倍の150万PVに。売買契約も増加し、5、6、7月は3カ月連続で手数料収入が過去最高を更新したという。
代表の藤木哲也さん(50)によると、これまで家いちばで売買されるのは「遊びの拠点」を目的としたセカンドハウスや、セルフリフォームを楽しめる空き家のような物件が中心だった。だが5~7月に検索されたのは水回りが整ったすぐに住める家。藤木さんは「移住を目的とした購入が増えた」と分析する。
東京から電車で2時間以上のエリアでも問い合わせが殺到。たとえば長野県伊那市の一軒家には61人が問い合わせ、34組が内見をした。神奈川、東京、愛知の人が多く、最終的には都内に住む50代女性が購入した。女性は「少しずつ荷物を運び、仕事を調整しながら3カ月後をめどに移住したい。自然の中で家庭菜園を楽しみながら夫と義母と暮らしたい」と言う。
神奈川県藤沢市や平塚市を中心に賃貸物件を扱うユーミーホールディングスも、コロナ禍の中で問い合わせが相次いだ。執行役員の廣瀬一寛さん(43)は「特に良かったのが藤沢店と辻堂店です。テレワークを機に引っ越したいという方の問い合わせがそれぞれ10件ずつありました」と話す。
藤沢店と辻堂店は、湘南でも人気の高い片瀬江ノ島駅や鵠沼海岸駅、辻堂駅などの周辺物件を扱っている。