いま住みたい街に住み、気分が変わればほかの街へ。そんな暮らしを実現してくれる様々なサービスが人気になっている。自分に合う街を見つける旅、いかがですか。「コロナ移住」を特集したAERA 2020年8月10日-17日合併号から。
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月額4万円で全国60以上の拠点に住むことができるADDress(アドレス)。会員は、全国のアドレスの家に滞在するため、共同賃貸借契約を結ぶ。有料オプションで、自分専用のベッドを申請しそこに住民票を置くこともできる。
コロナ禍前の利用者は、フリーランスや個人事業主、経営者が多かったが、コロナ以降、20~30代の会社員の若者が急増しているという。社長の佐別当(さべっとう)隆志さんが説明する。
「ワンルームで職住融合だと、誰とも会わなくなっていきます。オンラインで仕事ができるようになったからこそ、普段の暮らしでは人との交流を求める若者が増えているのでは」
アドレスの拠点の特徴は、空き家や別荘をリノベーションした家が多いこと。拠点には「家守(やもり)」と呼ばれるコミュニティーマネジャーがおり、住まいや予約の管理のほか、訪れる人と地域住民の橋渡しをする。
「空き家を再生させて家自体の魅力を知ってもらうのも重要ですが、それ以上に、そこに住みたいと思わせるには『地域』を知ってもらう努力が必要です」(佐別当さん)
家守を務めるのは、その地域をよく知る人やその地域が好きで移住してきた人たちだ。家守を中心としたコミュニティーがあるからこそ、初めてその地を訪れる会員でも安心して生活することができるという。
アドレスを利用して親子で多拠点生活を楽しんでいる関達也さんは、コロナ禍前から東京と宮崎の2拠点で生活していた。仕事はフリーの起業コンサルティングやセミナー講師などで、場所を問わない働き方が可能だ。アドレスの利用をきっかけに、2拠点から多拠点へ。妻と子どもたちは住民票がある宮崎にいるが、関さんが宮崎に滞在するのは月に10日程度で、あとは全国の拠点を転々としている。