内科副部長の守谷能和医師(44)は言う。

「6月下旬に局面が変わり、夜の街の関係者や家族単位の感染疑いで外来に来るようになり、陽性率も上がりました。コロナ以外の日常の診療もしているので、仕事量は2倍です」

 夏風邪や熱中症など、発熱があり、新型コロナと似た症状のある患者が増えた。感染者増加に伴い、外来の在り方や入院の受け入れ体制といった今後の対応を検討中だ。

 疲弊しているのは医師だけではない。看護師の清水明子さん(51)は、感染患者に対応する都内の大学病院に勤めている。

「コロナ病棟に配属され、負担を強いられるのは、重症化リスクが低いとされる若いナースです。人員不足だから『休めない』と頑張りすぎてしまう」

 前出の埼玉協同病院で看護部長を務める見川葉子さん(57)は、「医師から指示を受け、実際にケアをするのは看護師。軽症者でも大変」と話す。

「毎回、防護服を着て病棟に入ります。患者さんに薬を渡し、食事を運び、売店で買い物をする。食事介助や、体を拭く。看護師が患者さんの一番近くにいて、密接せざるを得ないこともあります」(見川さん)

 患者の不安な気持ちはわかる。だが、自分たちにも感染への不安がある。

「感染を防ぐために数分しかそばにいられない。『もう行っちゃうの』と言う患者さんもいます」(同)

(編集部・小長光哲郎、ライター・井上有紀子)

AERA 2020年8月24日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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