今後は起訴に向けて捜査が続けられるとみられる。廣江准教授は次のような懸念点を指摘する。
「周さんが問われたのは国安法29条が定める『外国勢力と結託して国家安全に危害を加える行為』。量刑としては3年以上10年以下の懲役か、終身刑または10年以上の懲役に該当します。ただし、国安法の犯罪の定義は曖昧で、何をすれば違反かはっきりしません。一部の香港の研究者からは、中国政府の意図より量刑が軽かった場合、全人代が解釈権を行使し覆す可能性も指摘されています」
前出の小川氏が話す。
「モニュメントの占拠など、これまで微罪扱いだった行為も重い刑罰の対象となる恐れがある。施行前は周さんも『来年の今ごろ生きてるかな』『もう一回日本に行けるんだろうか』と弱音を漏らしていました」
日本政府の対応を含め注視したい。(本誌・松岡瑛理)
※週刊朝日 2020年8月28日号