また、そういった正統派のネタ番組だけではなく、近年では特殊な形のネタを披露する番組も増えてきた。有田哲平がフレッシュな若手芸人から中年の地下芸人まで幅広い芸人をネタで競わせる『有田ジェネレーション』、芸人たちがターンテーブル状の舞台で歌ネタを次々に披露する『歌ネタゴングSHOW 爆笑!ターンテーブル』、ひと癖あるネタばかりを見せる『千鳥のクセがスゴいネタGP』など、それぞれに特徴がある。

 以前のネタ番組ブームのときにも、ゴールデンタイムのネタ番組だけでなく、マニアックなネタばかりを見せる深夜番組の『あらびき団』などがあった。ネタ番組の傾向が多様化しているというのも、シーン全体が盛り上がっている証なのだ。

 ウィズコロナの時代を迎えて、テレビで芸人がネタを演じるときにもソーシャルディスタンスを保っていたり、アクリル板を挟んでいたりすることもある。芸人としては当然やりづらいだろう。

 だが、作り手の立場から見ると、1組ずつ芸人が舞台に上がるネタ番組というのは、大勢の芸人がひな壇にズラッと並ぶような番組に比べると、感染リスクが低くて好都合とも言えるのだ。

『お笑いの日』の盛り上がり次第では、約10年ぶりに本格的な「ネタ番組ブーム」が到来する可能性もある。一お笑いファンとしてそうなることを願っている。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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