原発の新設・増設を前提に進められてきたという意味で、リニア中央新幹線は、深夜の原発電力で充電する電気自動車と同じ失敗の証明である。こんな巨大な電力を浪費するプロジェクトを立ち上げるその無神経さにあきれる。

 この答申案に対して、国交省鉄道局が「パブリックコメント」、つまり意見を公募した結果が5月12日に報告されたが、リニア賛成16に対して、反対648となり、こんなものはまったく不要であると、97%の圧倒的な国民がその建設に反対している。

 リニア関連予算があるというなら、それを今年度より即刻凍結し、その大金を東日本大震災の復興資金にあてるべきだ。福島第一原発の不幸な事故によって、電気自動車とリニア中央新幹線の未来が閉じられたことを、メーカーと関係者は早く認識する必要がある。(構成 本誌・堀井正明)

*ひろせ・たかし 1943年生まれ。作家。早大理工学部応用化学科卒。『原子炉時限爆弾--大地震におびえる日本列島』(ダイヤモンド社)など著書多数。今回の連載に大幅加筆した『FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』(朝日新書)が5月に緊急出版された。最新刊は明石昇二郎氏との共著『原発の闇を暴く』(集英社新書)


週刊朝日

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