コロナ禍という厳しい経済環境の中でも、EV優遇の姿勢を貫徹し、ガソリン車との決別を明確にする姿勢には、グリーンリカバリーによる大変革でこの難局を乗り越えるのだという両国首脳の揺るぎない信念が見える。
甘利氏の頭の中には、「経済を支える『一本柱』の自動車産業を絶対に失ってはならない」との危機感があると日経記事にあったが、日本経済が国際社会に後れを取っていることへの危機感は感じられない。困った企業があれば、とりあえず「バラマキ」で対応するという、何のビジョンも戦略もない政策ではないか。
日本の明日は、「暗い」。
※週刊朝日 2020年9月4日号
■古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など