堀江 おせっかいです。

東 おせっかいですか......。常識的に考えたら、日本を捨てると思うんです。これだけ痛い目に遭わされたら。

堀江 僕が目指しているロケット開発は日本でしかできないんですよ。米国でロケットを造るなら、米国籍をとらないといけないから。

東 つまり、ロケット開発のために堀江さんは日本に残っている。でも日本の社会はいろいろと変なので変えたくなるということですか。

堀江 そうですね。

東 なるほど。裏返せばロケットがなければ日本にこだわる理由はないと。いや、それが謎だったんです。今の堀江さんの立場で、日本社会について考える意味はないと思っていましたから。

◆「あれ」はやめて、やはり宇宙開発◆

堀江 確かにロケット開発という夢がなければ関係ないですよね。

東 僕は東日本大震災が起きて、結構いろいろなことが見えてきたなと感じています。震災直後に外資が本店を海外に移しました。それに対して、「逃げやがって」みたいな感情的な声がツイッターで沸騰した時期があった。でも僕は当然だと思う。実はこれって、「出る杭は打たれる」問題に密接に関係しているんですよ。日本独特の共同体意識とか......。

堀江 同一性圧力ですね。

東 そうですね。一緒に苦しむことにものすごく高い価値が置かれている。でも一緒に苦しむことに意味がない局面もある。

堀江 それを言いだしたら、もう子どものころからそうじゃないですか。炎天下で皆で整列させられたりとか(笑)。

東 とはいえ、それこそ変えるのが難しい。輸入したわけじゃなくて、この国の人たちが自発的に作ったシステムだから(笑)。

堀江 富国強兵ですね。

東 富国強兵はどの国もやっていたのに、なんで日本だけ体育座りで炎天下に座らなくちゃいけないのか(笑)。

堀江 日本が戦後の焼け跡から奇跡的に復活できたひとつの理由ではあるけど、あれが必要な局面は今後来ないから、もうやめましょう。

東 日本が没落して、インドや中国に追いつかないとまずいとなったら、もういちど必要になるかもしれませんけどね。あれが(笑)。

堀江 あれがね(笑)。

東 教育の話をすると、子育て世代の親は堀江さんを見て、「ほら、やっぱり目立っちゃいけない」と思ったかもしれない。

堀江 とうとう、「目立っちゃいけない」というのは変わらなかったですね。まあ、僕らみたいな人間が表に出て偉そうに口をきいちゃいけないんですよね。

東 市民社会を作ったことがないからですよね。

堀江 そのとおりです。

東 日本は商売人がルールを決めて、社会を変えたことがない。

堀江 市民革命を起こしたことがないですからね。

東 革命を起こすのは大変ですよ、この国では。日本は過去1500年ぐらい、ずっとマイナーアップデートで社会を維持してきた。それが成功体験になっている。独特ですよね。

堀江 いや、本当にマイナーアップデートですよね。ある意味凄い。それを自画自賛してるわけですからね。

東 始まりがそうとう優秀なものだったんですよ。でもね、だからこそ、いちど革命が必要なんです。

堀江 でも革命するには豊かすぎる。

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