「現在、便座と便器を一体化したウォシュレット一体形便器は、普及タイプの『GG』(税抜き23万9200円)から最高級タイプの『ネオレストNX』(同60万4千円)まで全部で6タイプ。この他に、既存の便座と交換するタイプを3種類ラインアップしています。他社製品よりやや割高なのに一番売れているのは、やはり商品自体に魅力があるからです」

 こう話すのは住宅業界誌のA記者だ。

 ウォシュレットの商品力。それは何か? A記者が続ける。

「トイレはかつて“ご不浄”“雪隠”“厠(かわや)”とも呼ばれマイナスイメージの場所でした。それを払拭(ふっしょく)する高い機能と優れたデザインを追求し、さらにスマートなCM効果により、日が当たる商品に昇華させたこと。そして“あると便利”な新機能を次々に生み出し、付加価値を高めてきました。80年の発売以来、ウォシュレットの歩みは、すなわち進化の歴史と言っても過言ではありません」

 具体的には、どのような機能を指すのだろう。建築業界誌のB記者が解説する。

「発売から3年後の83年、ノズルを自動的に洗浄する『セルフクリーニング』機能とビデも追加されました。セルフクリーニングによって清潔感が増し、ビデで女性のデリケートゾーンも洗浄が可能となって、ユーザー、用途が広がったのです。これらを皮切りに、清潔、快適、エコロジーをキーワードに他社との開発競争が激化しました」

 87年には「究極のトイレ」をテーマに、洗浄ノズルの位置調整、ワイヤレスリモコン操作など、12もの最新機能を搭載した一体形便器「ウォシュレットQUEEN」を発売。90年代に入ると、脱臭機能が追加された。

「かつてトイレは悪臭がつきものでした。それを換気扇による空気の入れ替え、芳香剤による消臭で解決してきたのですが、臭いそのものを解消する時代になったのです。手始めはオゾンの酸化力によって悪臭成分を分解するタイプでしたが、97年以降は、オゾン発生装置も不要な『触媒脱臭方式』が採用され、小型吸気ファンによって悪臭を強制的にフィルターを通過させて脱臭させています」(B記者)

次のページ