彼女たちのように商品紹介が大きな収入源となっているインフルエンサーにとって、今回の騒動は大きなダメージとなりそうだ。実際、A子やB子の他に話を聞かせてくれたインフルエンサーたちは「今後、本当にいい物を紹介しても、フォロワーの人たちから金もうけが目的ではないか?と疑われてしまう」「てんちむさんの件で商品紹介で得られる収入が減るかもしれない。正直、いい迷惑です」と危惧していた。今後、てんちむさんの件と無関係のインフルエンサーまでもが、これまで築き上げてきた信頼を問われる事態になりそうだ。
一概に"インフルエンサーが宣伝するコンプレックス商材に本当に効果があるか否か"を結論付けることはできないが、インフルエンサーに商品紹介を依頼している代理店の人から、「バストアップサプリを宣伝する際に使用する、ビフォーアフター写真のアフターに使う写真を5万円で提供してほしい」と依頼をされたことがある。もちろん断ったが、ビフォー写真には私よりも胸の小さい別の女性のものを使用して、アフター写真には私の写真を使用することで、サプリに効果があると消費者に思わせる算段だ。その他にも、バストアップサプリのビフォーアフターの写真にはブラジャーのサイズを変えたり、パッドを入れて撮影しているものがあったりもする。実際に私は実験としてパッドを入れてビフォーアフター写真を撮影したこともある。また、ダイエットサプリでは、細身のインフルエンサーを起用して、その後に少し太ってもらい、本来はビフォーである痩せている写真をアフターとして使用する方法も聞いたことがある。
もしも、「すぐ痩せる」「簡単にバストアップ」といったうたい文句のコンプレックス商材を購入するかどうか迷った際は「豊胸手術はなぜ存在するのか」「ダイエットジムはなぜ倒産しないのか」といったことを考えてみてほしい。私はインフルエンサーの商品紹介から何かを購入する場合は“投げ銭”のつもりでいた方がいいと思う。(コラムニスト・妹尾ユウカ)
◆せのお・ゆうか/1997年8月生まれ。一児の母。コラムニスト。ツイッタ-のフォロワー数は7万5千人(2020年8月現在)