新型コロナウイルスの感染拡大の影響はさまざまな業界に甚大な被害をもたらしているが、芸能界も未曽有の危機的状況に陥っている。
緊急事態宣言下にあった4~5月に比べると、最近では徐々に芸能関連のイベントやライブ、コンサートなども行われているが、知人の芸能事務所の社員やレコード会社スタッフに話を聞くと、実情はかなり厳しいようである。
最近では、有名タレントやスタッフが大量流出したオスカープロモーションが話題となったが、コロナ禍の打撃も重なったことで、懐事情が苦しい大手芸能事務所は少なくない。
数多くの人気お笑い芸人や俳優、女優、ミュージシャンなどを抱えている老舗芸能事務所はコロナ禍により経営が悪化し、最近になって所属タレントとの契約を見直したほか、20人近くのスタッフをリストラしたという。所属タレントの中にはバラエティー番組などでよく目にする売れっ子も複数おり、にわかには信じがたい話だが、取材を進めてみたところ間違いなさそうだ。
いくら売れっ子といっても、昨今はテレビ番組のギャラがかなり下がっており、冠番組を持っていたり、大手クライアントのCMに出演しているような一握りのトップタレントでもない限り、会社の屋台骨を支えるほどの収益を上げることは難しい。
番組のギャラがいかに下がっているかについては、全盛期に自身の冠番組のギャラが1本1200万円だっとされる大物司会者の出演料が、今では200万円を切っていることからも分かる。
折からのギャラの下降に加えて、コロナ禍により比較的利益率の高い地方営業などの仕事が激減し、大半の所属タレントの稼働が落ち込む中、一部の売れっ子の稼ぎに頼るというビジネスモデルも通用しなくなってきているのかもしれない。オスカーもそうだが、前出の老舗芸能事務所のように、所属タレントやスタッフの数が多い大所帯の事務所ほど苦しんでいる印象がある。
また、今回のコロナ禍は本業のみならず、事務所にとっては“保険”だったはずの副業にも大きなダメージを与えているというから、泣きっ面に蜂のような状態だろう。