「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【写真】ナチュラルローソンで発売している彩り野菜の大豆ミートパスタはこちら
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「feed conversion ratio」をご存じでしょうか。畜産物1キロ当たりの生産に必要な飼料数量を指します。牛や豚などを育てるには、当然飼料や水資源が必要です。生産過程で排出される二酸化炭素も、環境負荷が問題になっています。
そこで注目を集めているのが、大豆ミートです。植物性原料を使用した代替食品の一つで、第4の肉とも呼ばれています。大豆は栄養価も高く、ヘルシーに植物性タンパク質を取ることができます。
米国のシリコンバレーでは以前から存在感のあった大豆ミートですが、ここ数年は日本国内の市場規模も広がっています。背景に地球温暖化問題や環境意識の高まりがありますが、何より圧倒的に美味しくなったことも大きいのではないでしょうか。
体や環境に優しいとわかっていても、味がよくなければまた食べようと思わないのが人間です。今やローソンの売れ筋の一つになったブランパンも2012年の発売当初は手放しで美味しいとは言えず、病院の先生に言われて食べているという方も多くいらっしゃいました。商品改良を重ね、糖質を抑えながらもふっくらしたパンの食感や味を追求した結果、多くの方に食べていただけるようになりました。
大豆ミートもかつては、肉を食べたいけれど環境負荷などを考え、消去法的に手に取る方が多かった。それが今や商品として独り立ちしていて、食べるたびに美味しくなっている。比例するようにメニューも豊富になり、売り場も増加。ローソンでも、今夏から大豆ミートを使った商品の販売を拡大しており、ナチュラルローソンでは、9月8日からトルティーヤやパスタなど、幅広いラインアップで発売しています。
地球環境問題は一朝一夕に解決できませんが、大豆ミートで環境保護の機運を高められたらと考えています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2020年9月21日号