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30歳でこの世を去った三浦春馬さん。いまだ悲しみ冷めやらず、その死に傷ついている人も多いだろう。真実がどこにあるのかわからず困惑しているファンもいる。そんな中、確かなことは、三浦さん本人が口にした言葉だ。10代半ばから俳優として新聞や雑誌の数々のインタビューに答えていたが、自分自身について驚くほど正直に語った内容が多い。一人の人間として、そのときどきでどんな風景を見て、何を思ってきたのか。三浦さんが残した言葉を振り返り、その人生に迫ってみたい。
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三浦さんが10代後半のころに、インタビューした編集者は当時を振り返って、こう話す。
「こちらの目をまっすぐ見て、そらさないんです。すごく自信があるのか、自信がまったくないのか、そのどちらかだと思いました」
あいさつの角度が美しく、礼儀正しかったという。
俳優がインタビューに応じる場面は、ほとんどが「番宣」。出演した作品のPRのために役柄について話すことが多く、それ以外の質問はぐらかしたり、ありきたりな回答に終始したりと、面白みに欠ける内容になりがちだ。
それが三浦さんの場合、人柄がうかがえる答えや、一歩踏み込んだ真摯な回答が多かった。作品に絡めて自分自身の人生を振り返る内容も目立った。実際、28歳のときのインタビューでは、10代半ばの心境を次のように明かしている。
「ちょうど子役から大人の俳優に差し掛かった辺りで、まわりの大人たちの言うことも理解したい、でもできないっていう、ただ愛想笑いばかりしている時期だったんです。不安でした。だから自分の居場所はカメラが回っているその瞬間にしかないと思って、(中略) 芝居で認めてもらうしかないような気がしていたんです。そういうぐじぐじした感じは二十歳くらいまで引きずっていたのかな」(週刊文春2018年12月13日号/28歳)
嘘がつけない性格と語っていた三浦さん。インタビューの言葉から、その人生観が見えてくる。テーマに沿って、生きた証の言葉をひとつひとつ拾っていこう。
【家族を大切にする思い】
公の場ではプライベートを明かさない芸能人も多い中、三浦さんは自分の「家族」について、たびたび語っていた。子役としてデビューし、中学生までは茨城県で学校に通いながら、芸能活動を続けた。高校進学を機に上京。年頃の青年によくあるように、「演技について母親は何も言わないなあ」と話すくらいだった。