自民党総裁に決まった菅義偉氏(c)朝日新聞社
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作家の北原みのりさん
作家の北原みのりさん

 作家・北原みのり氏の連載「おんなの話はありがたい」。今回は、社会や政治を変えていくフェミニズムの力について。

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 福島みずほさんの提案で、YouTubeでフェミテレビをはじめた。この社会で女性として生きていると感じるモヤモヤを言語化し、共感したり、支え合ったりするようなそういう時間をつくろうという思いからだ。出演するのはフェミニスト6人。#KuTooで職場で女性だけに強いられるヒールに問題提起した石川優実さん、非正規労働の問題に取り組み続けている大椿ゆうこさん、13歳から市民運動に関わり声をあげ続けている菱山南帆子さん、「#検察庁法改正案に抗議します」の1400万ツイートで社会の空気を変えた笛美さん。さまざまな世代、さまざまな職業、さまざまな経歴、だけれどこの社会で女性として生きて感じる悔しさの色はとても似ている。フェミテレビでは、日々、どのように「男尊女卑」と闘っているのかをそれぞれ語り合った。

 それにしても改めて、福島みずほさんの職場環境の悪さには同情だ。安倍政権の約8年、私たちは国会で福島さんにいらつく安倍さんの姿を幾度となく見てきた。ニヤニヤとばかにしたように笑ったりなどは、野党の男性議員や、自分に従順な自民党の女性議員には安倍さんはしない。

 福島さんが話してくれたこと。加計学園の疑惑が週刊誌で報じられたとき、国会で名指しで初めて加計学園を質問したのは福島さんだった。その時の国会での安倍さんの福島さんへの攻撃は執拗だった。証拠はあるんですか、学校に通う子ども傷つけますよ、大きな影響与えますよ、これNHKで流れてますよ!? 責任取れるんですか!? 短い答弁の間に、安倍さんは二度、「責任取れるんですか」と言った。脅しのようなものだろう。そういう時、安倍さんをいらつかせてきた福島さんの闘い方は、「ひるまない」とのことだった。

 責任取れるのか? と大きな声で言われたら、たとえ自分が間違ったことを言っていないと知っていても、一瞬たじろいでしまうかもしれない。それでも、そういう恫喝には「なぜ、恫喝するんですか?」とひるまずに向き合えばいい。なぜなら、ひるませ黙らせることが、相手の目的だから。

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女性をバカにしてます? 不愉快だよ!