「世界3大投資家」の一人とされるジム・ロジャーズ氏の本誌連載「世界3大投資家 ジム・ロジャーズがズバリ予言 2020年、お金と世界はこう動く」。今回は、日本のETFに注目する理由について。
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菅義偉首相が、新しい内閣を発足させた。
私はこれまでも「アベノミクス」を批判していて、安倍晋三氏は早く首相を辞任すべきだと主張してきた。だが、菅首相は安倍氏と同じく、日銀にお金を刷らせ続けて、政府の借金を増やし続けるだろう。「アベノミクス」の名前は変わっても、同じ政策が引き継がれる。
だから私は、安倍氏が辞任するというニュースを知って、すぐに日本株のETF(上場投資信託)を購入した。辞任の一報を受け、一時的に日経平均株価が前日の終値より600円超も下落した。だが、私の予想どおり今では株価は持ち直している。菅氏がアベノミクスを継承する方針を示し、市場が安心したからだ。
今後も私は日本株のETFに注目する。その理由を説明しよう。
第一に、数多くの研究が示しているとおり、市場平均に投資するインデックス投資は、ほとんどの投資家の成績を上回るリターンを得ることができる。だから投資家はインデックス投資をしたほうがいい。
もう一つの理由は、私が怠け者だからである。
平均に投資するので、インデックス投資は基本的に自分で考えることがない。インデックス投資は楽なのだ。
しかし、最大の理由は別にある。それは、日本銀行の黒田東彦総裁が、新型コロナウイルスによる経済危機を受けてお金を大量に刷り、それで債券を買っているからだ。日銀はETFにも投資している。そして日銀は、私よりはるかに莫大なお金を稼いでいる。
黒田総裁がETFを買おうとするとき、私も買う。つまりは日銀がやっていることを私はまねしているだけなのだ。
これは、日本にとっては借金が積み上がるだけだ。では、黒田総裁の行動で誰が得をするのか。それは日本株に投資する人たちである。