西川助教とゼミ生らが6月に学生745人を対象に実施したアンケートでは、8割以上がGoToを利用したいと回答した。
9月の4連休は外れたが、紅葉シーズンを目前にした東京解禁。同時に、旅行代金の15%相当の「地域共通クーポン」も付与されるなど、菅新政権の肝いりともされる観光事業の後押しには力が入る。これを契機に、コロナ禍のどんよりとした閉塞感を打ち破ることはできるのか。西川助教はこう指摘する。
■段階を経て県またいで
「学生たちからは、安く行けるなら使いたいという声も聞かれます。また、GoToで浮いた宿泊代で食事や土産物代など現地での支出増につながったりするのかや、地域クーポンが実際に利用されるのかも重要です」
今回のGoTo東京解禁を経済立て直しの端緒にしたいと思う人たちがいる一方で、感染拡大への不安から解禁に違和感を覚える人もいる。
「いきなり活性化するのではなく、まずは県内の旅行や飲食への補助をして、感染拡大しなければ県をまたぐシステムにしてほしかった」
東京解禁に強く反対しているという長野県に住む女性(49)は憤る。この夏にGoToで押し寄せた観光客と接触を避けるために、女性は夏休み期間中も自粛する羽目になったという。
都民の移動により、東京から感染が地方に拡大したり、東京に地方から旅行に行った人が感染を持ち込んだりすることに恐怖心を抱くのは、この女性だけではない。
「他県の人からは、大阪も東京と同じように思われているかもしれませんが……」
そう嘆くのは、大阪府に住む女性(45)だ。もし東京解禁で感染がさらに拡大したら、「だから都会の人たちは」と、いっしょくたに批判されるかもしれない。
旅行者たちが一番気にしているのは、旅先の住民の反応だ。西川助教らのアンケートでも、回答した学生の約95%が行き先を決める際には地域の意向を考慮したいとしている。だが、GoToを使って観光を推進したい国と感染対策を優先させたい自治体との意識差が生じるケースもあり、意向を考慮するにしても何を指標にすればいいのかがわからないという声もある。