●日本全国に広がる空海伝説
東京都民の参加も決まった「GO TO キャンペーン」のニュースを見ていて、つくづく思った。日本のいくつかの観光地を支えているのは神社仏閣であり、逆に神社仏閣を支えているのも観光であるということを。中でも、空海はトップセールスマンと言えるかもしれない。生まれ故郷の四国から総本山である高野山、歩いてまわった温泉地や立ち寄った寺社など。高野山の奥の院では、今も修行中(と言われている)の空海に朝晩食事が供されているし、お遍路の最中、一緒に巡っている空海に出会うこともあるらしい──という伝説もある。
最後に。空海の俗名(出家前の名)は佐伯眞魚(さえきまお)という。現代で名乗っても違和感はないどころか、むしろキラキラネームの類に入るのではないか。平安初期に生まれた人間につける名としては斬新すぎる。空海のあまりの超人ぶりに、もしかしたら現代からのタイムトラベラーではないかとの妄想に、燃料が加わる思いである。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)