50年に及ぶ格闘人生を終え、ようやく手にした「何もしない毎日」に喜んでいたのも束の間、突然患った大病を乗り越えてカムバックした天龍源一郎さん。2月2日に迎えた70歳という節目の年に、いま天龍さんが伝えたいことは? 今回は「大病後の健康」がテーマに飄々と明るくつれづれに語ります。
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2019年4月に小脳梗塞を発症して、9月にそのことを発表してから約1年が経った。それから今までもつつがなく生活をしているが、今でも心配してくれるファンもいるようだからその後の健康状態を話しておこうと思う。今の俺のからだの状態だけど、からだは年を重ねると衰えるものだし、現状がこの時点でのベストだと思って暮らしているのが正直なところだね。まあ、この年だしこんなもんだろうって受け入れている俺がいるよ。もう少し若かったら「もっとあれができた、これができたはず」と思っていたんだろうけどね。今はなすがまま、あるがままだよ。
今は脊柱管狭窄(きょうさく)症の影響もあるのか歩くときには杖が必要になってしまった。杖は一度使い出すと癖になって、無いと歩けなくなるもんだね。この杖が無かったら女房の買い物の荷物を持ってやれるのにという腹立たしさがある一方で、どうやったら杖を持ってカッコよく歩けるかを研究している俺もいる(笑)。杖を持って散歩していると、お年を召した先輩にまで追い抜かれるんだよ! これは悔しいし、癪に障るね(笑)。抜かれたら抜き返してやろうと思うんだけど、なかなか追い越せないのが悔しい。今の俺の目標は散歩している先輩たちを追い抜くことだ。(笑)
そもそも俺の歩き方は脊柱管狭窄症をやる前から相撲取りの特徴でのっしのっしと歩く癖がついているんだよね。プロレス時代もジャイアント馬場さんに「おい天龍、リングの上をのっしのっしと歩くな! 機敏に見えないぞ!」と怒られていたからね。今にして思えばこのことだったかと、ようやくわかったよ(笑)。
健康にも気を遣っているというか、無茶をしなくなったね。しなくなったのかできなくなったのかはわからないけど……。現役時代はもちろん、イケるところまでどんどん行くというスタイルだったからね。そこにボーダーラインができたというか、リスクマネジメントができるようなったのかな。別に長生きしたいというわけじゃなくて、他人に迷惑かけてまで生きたくないという思いの方が強い。