■キーワードは“自律力”

 山根さんによると、子どもの集中力が持続するのは15分くらい。ただ観ているだけの受け身の動画の場合は「3分もたない」という。

「そのため当社では、チャット機能を使ってリアルタイムで一人ひとりの疑問に答えたり、“なるほどボタン”で一緒に授業を受けている子のリアクションがわかるようにするなど工夫しています」(山根さん)

 教育方法学が専門の早稲田大学大学院の田中博之教授も、先の休校中のオンライン授業に対し「改善が必要」と指摘する。

「先生たちも突然のことで準備が整わず、研究も経験も実践もないまま始めることになった。今後は双方向型の授業が増えていくことは間違いない。その際、授業内容を各学年に合った形にするべきです」

 田中教授によれば、小学校中学年からは話し合いなど対話討論型の授業が望ましい。

「お互いが気持ちよく発言できる術を覚えたら、かえってオンラインのほうが濃密な討論ができるんです。また、不登校や障がいのある子どもが参加しやすいということもあります。社会の多様性におけるオンライン授業の重要性は明らかです」

 先述のベネッセの調査では、「(休校明けに)学習習慣を取り戻せるか」について小学生から高校生の保護者の過半数が「不安」と回答。田中教授は言う。

「家庭学習のキーワードは“自律力”。まずは自分自身で学習計画を立て、後で大人と一緒に振り返る。結局、どういう環境でもこれに尽きます」

(編集部・藤井直樹)

AERA 2020年9月28日号より抜粋

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