このマンションは築10年たってもいまだ完売していません。売り主の不動産会社が持っている新築未入居の住戸が売れ残っているからです。なぜ売れないかというと、単純に価格が高いから。売り始めた2010年頃は坪単価が350万円前後。当時としては、これは間違いなく超高値です。当然、建物が完成するまでに完売しませんでした。やがて東日本大震災あり、民主党政権が倒れてアベノミクスが始まります。その頃からこのマンションも売れ始めました。すると、なぜか売れ残り住戸が値上げされたのです。この売り主は、市場に合わせて値下げはせずに、値上げは行うタイプなのです。常に市場感覚よりも1割程度高い価格で、この10年間販売が続いてきました。もちろん、その間にエンドユーザーが買った中古物件も何戸か売り出されました。現在は新築と中古が同時に市場に出ているような状況です。

 そういう事情があるにせよ、このマンションの資産価値には手堅いものがあります。銀座に歩ける場所にありながら、駅直結のタワマンはやはり貴重な存在。今後、コロナ不況によって価格が下落する場面があるはず。そういう時に仕込んでおくには悪くない物件の一つです。

■ワテラスタワーレジデンス
分譲会社/安田不動産他 
千代田線 「新御茶ノ水」駅 徒歩3分  
全333戸 2013年3月築 41階建て

 このマンションは、千代田区立淡路小学校の跡地の再開発事業として建設されました。大きな建物の割には住戸数が少ないのは、19階までがオフィスや商業施設だからです。少し前に横浜にできたホテル一体型のタワマンが話題になりしましたが、そちらの中途半端な立地と比べると、こちらは“本物”です。

 マンションの立地は、オフィスでも十分に機能する場所です。権利関係が複雑になる区分所有のマンションよりも、ワンオーナーのオフィスの方が何十年後の建て替え時には調整がスムーズです。ここがなぜ区分所有のマンションになったのか不思議なくらいです。

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新築時の2倍近く値上がりした物件