今季14年ぶりに古巣・西武に復帰を果たした松坂大輔 (c)朝日新聞社
今季14年ぶりに古巣・西武に復帰を果たした松坂大輔 (c)朝日新聞社
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 藤川球児(阪神)、五十嵐亮太(ヤクルト)そして松坂大輔(西武)。日米で投げた同年代の剛球投手たちがキャリアの重要時期を迎えている。

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 40歳という年齢に差し掛かり、それぞれの選択に注目が集まっていたが、阪神の藤川はシーズン途中に今季限りで現役を退く決断を下した。

「1年間、身体の準備が整わないというのはプロとして失格だと思いましたし、昨年を終えた段階で自分へのチャレンジに勝ったかなとも感じました」(藤川)

 9月1日、藤川が今シーズン終了後の引退を発表した。

 今季は開幕から調子が上がらず、2度の登録抹消。現在も2軍で調整の日々が続く。

「やめることに驚きはないが……」と長年、藤川を見てきた阪神担当記者は話す。

「開幕から納得できる球が投げられなかった。連日、球場に早く来て走り込みやフォーム確認をしていたが復調の気配がない。無理だと感じたら潔く引退すると思っていた」

『真っ向勝負』で打者を抑えられなくなった。引退を決意したのは必然だった。

 日米通算250セーブ達成が目前に迫っているが……。

「記録には固執していない。阪神が勝って日本一になることだけを考えていた。シーズン中での発表には球児の想いが込められている。会見でも語っていたが、巨人に独走を許しているチームへの叱咤激励もあったのでは。満足な投球ができない自分にできる、『最後の奉公』を考えるような男」(阪神担当記者)

 自身を脅かす存在がチーム内に出てこない状況にも歯痒い思いをしていた。日本一を目標に掲げた今年も首位・巨人の独走を許してしまっている状態だ。

「選手たちに言いたいのは、やめていく選手に負けるなと。僕に負けるようではだめです。巨人には勝てないですから」(藤川)

 引退会見ではチーム状況を自ら口にした。翌日の2軍練習では挨拶とともに、奮起を促すような言葉を仲間に送った。球児は『炎のストレート』を厳しく投げ込んだ。若虎たちにどのように響くのだろうか。

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