「歩くのにお尻の筋肉が必要だということをその時初めて知りました。かかと着地をして親指の付け根で押し出すことを意識するとお尻の筋肉が使えるようになり、すぐにキュッと引き締まりました」(田中さん)
次は歩幅。大きな歩幅で歩くことができれば歩行速度が上がり、運動効果も高まる。だが、小さな歩幅でちょこまか歩くクセがついた人が急に変えるのは難しい。
そこで『やせる3拍子ウォーク』の著書がある山口マユウさんが提案するのが、「3歩目だけ歩幅を広げる」歩き方。
「理想的な歩幅は身長マイナス100センチ、つまり160センチの人なら60センチ程度ですが、その歩幅で歩いている人はほとんどいません。まずは3歩目だけ、いつもより8センチ長い歩幅をとってみてください」(山口さん)
3歩目の歩幅を広げると、左右交互に広い歩幅がやってくる。「タン・タン・ターン」とリズムに乗れて軽快だ。常に広い歩幅を維持するより、負担感も少ない。
これを実行して2週間で体重4キロ減を果たしたのが、大阪府の会社経営者・佐藤研さん(46)。常に車移動で、ほとんど歩かない生活を送っていたところ、40歳を過ぎたあたりから体重が増加。身長170センチ、68キロ、へそまわり88.8センチに。健康診断で血圧とコレステロール値が高いと言われたことがきっかけで、山口さんのウォーキング教室に通うようになった。
2駅分ほど歩くことにし、教わった通りに3歩目だけ歩幅を広げ、かかとで着地して後ろ足のふくらはぎに力を入れ、指で地面を強く蹴るように心がけてみた。結果、わずか2週間で体重は64キロ、へそまわりは83.5センチになり、上が180あった血圧は降圧剤を服用しつつではあるが、120程度に改善した。
「運動嫌いの僕でもできた。半年以上続いた運動は、人生で初めてです」(佐藤さん)
(編集部・藤井直樹)
※AERA 2020年10月12日号より抜粋