新型コロナ対策でフェースシールドなどをつけて大学入学共通テスト志願票の点検作業をする担当者たち(2020年9月28日、写真/朝日新聞社)
新型コロナ対策でフェースシールドなどをつけて大学入学共通テスト志願票の点検作業をする担当者たち(2020年9月28日、写真/朝日新聞社)

 入試改革に加え、新型コロナウイルス感染拡大で揺れる、来年の大学入試。来年1月の「大学入学共通テスト」の出願が10月8日に締め切られ、いよいよ受験シーズンが本格化する。先が予想できない事態のなか、受験生はどう対応すればいいのか。現在発売中の『AERA English 2020 Autumn&Winter』では、これまでの紆余曲折を振り返るとともに、共通テストの懸念点などに追った。

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 コロナ禍のなか行われる来春の大学入試。国は例年にない対応を迫られている。文部科学省は6月19日、入試日程などを定める「大学入学者選抜実施要項」を発表。休校による高校3年生の学業の遅れに配慮し、入試日程を見直す方針を示した。大学入試センター試験に代わって新しく始まる大学入学共通テストについては、来年1月16、17日の第1日程のほかに第2日程を1月30、31日に設定。「学習が遅れた」と校長が認めた高校3年生が選択できるようにした。さらに第2日程を病気などで受けられなかった受験生のために、2月13、14日に特例追試も設けた。

 あわせて文科省は、共通テストの科目指定への配慮や個別試験での出題範囲の工夫などを大学側に要請。その例として「発展的な学習内容」から出題しないことなどを挙げた。

 こうした方針が決まるまでには紆余曲折があった。全国の国公私立高校の校長からなる全国高等学校長協会(全高長)は6月16日、学習格差が生じているとして、大学入試全体の日程を1カ月程度繰り下げるよう、文科省に申し入れた。しかし文科省担当者は「高校の総意ではない」として受け取らなかった。

 その背景には、文科省が全高長を通じて全国の高校に実施したアンケートの結果がある。回答した約4300校のうち、大学入試日程について予定通りの実施を求める回答が約7割を占め、2週間~1カ月程度の延期を求める回答は約3割にとどまった。しかし、全高長は3割の意見を尊重し、文科省に要請。萩生田光一文科相(当時)は「仮に予定通りの日程になったとしても、受験生の抱えるさまざまな状況に柔軟に対応できるようにしたい」と発言。それを受け、ようやく決まったのが、冒頭のような日程と試験内容への配慮だ。

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