レオパレスの管理物件の中には入居者がほとんどいないものも。入居率向上とオーナーに保証している賃料の引き下げが急務だ(撮影/吉松こころ)
レオパレスの管理物件の中には入居者がほとんどいないものも。入居率向上とオーナーに保証している賃料の引き下げが急務だ(撮影/吉松こころ)
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 違法建築問題で経営危機のレオパレスを、ソフトバンク系のファンドが救済する。倒産もささやかれる中でぎりぎりで踏みとどまった形だが、まだまだ予断を許さない状況であることには変わりないようだ。AERA 2020年10月19日号では、レオパレスの現状を取材した。

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 全国的な違法建築問題をきっかけに経営難に陥っていた賃貸住宅大手のレオパレス21に、救済の手がさしのべられた。同社は9月30日、ソフトバンクグループ子会社の米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」から総額572億円の出資と融資を受けて経営再建を目指すと発表した。

 レオパレスは6月5日、2020年3月期決算で802億円の純損失を計上。その後1千人以上の人員整理を公表したほか、自社株を相次ぎ売却したり、保有するホテルや賃貸住宅を簿価の半額程度で「投げ売り」したりと現金をかき集めている様子が明らかとなり、倒産の噂がささやかれる中での支援決定だった。

 9月30日に発表した4~6月期決算によると、同社は6月末時点で約118億円の債務超過に陥っていた。だがファンドからの第三者割当増資で約119億円の出資を受け入れ、300億円を借り入れるほか、子会社にもファンドの出資を受け入れるなどして、債務超過を解消できるという。まさに土俵際で踏みとどまった形だ。

■オーナーとの契約標的

 レオパレスは今後、ファンド主導で経営改善を進めることになる。不動産とファンドに詳しいコンサルタントの西村明彦さんは、改革は短期決戦とみる。

「ファンドの目的は買った株式の価値を上げ、売って利益を得ること。基本は1~2年、長くても3年で結果を出します」

 ファンド側がすぐにでも着手すると考えられるのが、優良物件の選別だ。優良物件とは、入居率がよく安定して家賃が入ってくる物件や、大手法人が社宅にしている物件。そうではない物件は収益性が低い不良物件と見なされることになる。

 レオパレスの場合、物件は各地のオーナーが建設・保有し、レオパレスが一定額の家賃収入を保証する「サブリース」という仕組みをとっている。オーナーにとっては入居の有無にかかわらず毎月一定の金額が入ってくるため、ローンを組んで賃貸住宅を建てるケースが多い。

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