だが今回、ファンド側は不良物件のオーナーに対して家賃保証の大幅な減額を要求するとみられる。応じなければ家賃保証の終了に追い込むこともあり得る。西村さんは「手慣れたファンドマネジャーたちによって、家賃減額交渉は一気に進むでしょう」と語る。

 レオパレスの4~6月期の営業損益は68億円の赤字。最大の理由は入居率の低さだ。物件全体の入居率は79.43%。駅から遠い、近くに企業や大学などがないなどそもそも需要が少ない物件も多い上、違法建築問題が追い打ちをかけている。一般的にサブリースで家賃保証を行う側(この場合はレオパレス)が利益を得られる損益分岐点は入居率80%とされる。経営再建へ、入居率引き上げも極めて大きな課題だ。

■340億円で物件改修

 だが、入居率を改善させるには、レオパレス信用不振のきっかけとなった違法建築問題の解決抜きには語れない。

 同社によると、明らかな不備がある賃貸住宅は全国に1万3626棟あり、改修工事が完了しているのはその7.7%にあたる1055棟にすぎないという。上記以外にも1万6457棟で小屋裏の界壁(部屋と部屋を仕切る壁)などに軽微な不備が確認されている。

 これらの改修を請け負うはずの施工会社が、レオパレスの信用不安から仕事を受けたがらなかったことも進捗が遅れている理由の一つ。工事が終わらず入居者募集を保留している部屋は、7月末時点で5万室に上る。これはレオパレスが管理する約57万室の8%超にあたる。

 ファンドから調達した資金のうち、340億3300万円は「界壁等の施工不備に係る補修工事費用」として使用される。これにより工事が進むことが期待されるが、内部事情に詳しい元幹部からは「補修箇所は一律でなく様々なタイプがあるため、費用は1千億円はかかるだろう」との声も聞かれ、なお予断を許さない状況だ。(ライター・吉松こころ)

AERA 2020年10月19日号より抜粋

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