『「かめる幸せ」をとり戻す』より(イラスト/ひのあけみ)
『「かめる幸せ」をとり戻す』より(イラスト/ひのあけみ)
『「かめる幸せ」をとり戻す』より
『「かめる幸せ」をとり戻す』より

 近年、かむ力と全身の健康との関係について関心が高まっています。歯を失った人の代替法として「インプラント」がありますが、「第二の永久歯」といわれるほど「かむ力」がとり戻せることで注目を浴びています。日本口腔インプラント学会は、広く一般の方々に向けて、インプラントについての正しい情報を伝える公式本『「かめる幸せ」をとり戻す』を9月に刊行しました。本書から抜粋する形で「残っている歯の数と認知症」「かむ力と健康長寿」についてお届けします。

【データ】知ってた? 残っている歯が多い人ほど「おいしい」と感じている!


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 人生100年時代といわれるいま、認知症を発症せずに、できるだけ自立した生活を送りたいものです。

 実は、歯を大切にすることは、認知症を予防することにもつながるといわれています。

 米国の修道女を対象とした「ナン・スタディ」と呼ばれる認知症研究があります。

 同じような環境下で長年暮らす修道女たちに協力を得て、彼女たちの老化を多角的に調査したものです。

 それによると、残っている歯の数が「0~9歯」の人は、「10~28歯」の人より、アルツハイマー型認知症の発症リスクが2.2倍も高かったそうです。

 また、老いたマウスに迷路を記憶させる実験で、抜歯したマウスと抜歯しないマウスを比べた場合、明らかに抜歯したマウスの記憶力が低下したそうです。

 つまり、「歯が残っているかどうか」が認知症や脳の機能に影響するのです。

 さらに、年をとっても健康で質の高い暮らしをしたい、元気で活動的に生活をしたい、そう思っている人も多いことでしょう。

 それを実現するためにも、実は「歯が残っているかどうか」が、とても重要な役割を果たすのです。

 調査によると、食事を「とてもおいしい」「おいしい」と感じている人は、平均で約20本の歯が残っていたそうです。

 一方で、「おいしくない」と感じている人の平均は約11本です。

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