



秋といえば温泉。しかも旅行代金の最大半額を補助する観光振興策「Go To トラベル」を使えば、お得な旅ができる。高級旅館・ホテルを利用する人も少なくないが、中小の宿も魅力的だ。(1)足腰の弱った親と一緒に(2)喧噪(けんそう)を離れて──。目的別に温泉宿を紹介する。
コロナ禍での強行や、大手旅行会社への利用集中──。7月22日にスタートした国の事業「Go To トラベル」は、さまざまな批判や混乱を招いてきた。ただ、利用者はのべ1689万人(9月15日時点)に上る。観光に関わる調査・研究を行う日本交通公社で観光政策研究部長を務める山田雄一氏は言う。
「4月以降、売り上げがゼロに近い宿泊事業者は少なくありませんでした。賛否はありますが、観光地で人が動き出したという点では、今回のキャンペーンに一定の評価ができると思います」
この事業は、国内旅行代の50%相当(上限は1人1泊2万円、日帰りは1万円)を補助する。50%のうち、35%分は宿泊代・交通費から割り引き、残る15%分は旅先でのみやげ物店などで使えるクーポン券として配布する。申し込み方法は旅行代理店・予約サイト経由のほか、宿泊施設への直接連絡もある。
混乱が拡大したのは事業対象に東京発着の旅行が加わった10月1日から。申し込みが集中した大手予約サイトは国から割り当てられた予算枠が足りなくなり、1万4千円だった割引上限額を3500円(1人1泊あたり)に引き下げるなどした。
赤羽一嘉国土交通相は13日の記者会見で、混乱を招いたとして陳謝し、追加予算を配分すると発表。現在は、いずれのサイトも当初の割引額に戻っている。
観光庁の担当者によれば、同事業は来年1月末までの予定だが、予算総額1.3兆円(9月15日までの消費額は735億円)に達し次第、早期終了の可能性もあるという。
そのほか、宿泊事業者側の手続きが煩雑で、人手が足りなかったり、インターネット環境が整わなかったりする中小旅館が同事業の恩恵を受けにくいともされている。