まずは福島・高湯温泉の吾妻屋。東京から新幹線を使えば2時間余り。部屋数は10室だが、大浴場・貸し切り風呂・露天風呂と風呂の種類は豊富だ。

「他の宿泊客とそれほど顔を合わせず、源泉かけ流しの乳白色のお風呂に入れます。露天風呂の周りは全部広葉樹で、秋は紅葉に包まれ温泉が楽しめます」

 長野県の「ランプの宿 高峰温泉」は標高約2千メートルの稜線上に立つ。

「『含硫黄-カルシウム・ナトリウムー硫酸塩泉』といって、やや白濁した温泉が楽しめます。お薦めは『雲上の野天風呂』というキャッチフレーズの露天風呂。秋から冬にかけては雲海が出て、天気が良ければ中央アルプスも一望できる。宿が主催する無料の自然イベントも人気です」

 日本3大秘境の一つ、徳島・祖谷渓にたたずむのが、ホテル祖谷温泉だ。

「断崖絶壁にへばりつくようにホテルが立ち、谷底に露天風呂がある。宿の脇に専用のケーブルカーがあり、谷底へ下降して露天風呂に向かうのですが、ちょっとした遊園地気分が味わえます。峡谷の紅葉も長い期間楽しめます」

 その他には、越後長野温泉・嵐渓荘(新潟県)、新穂高温泉・野の花山荘(岐阜県)、湯ノ本温泉・平山旅館(長崎県)、栗野岳温泉・南洲館(鹿児島県)の名前が挙がった。(本誌・松岡瑛理)

週刊朝日  2020年10月30日号より抜粋