厚生労働省国立感染症研究所研究員などを経て、現在、白鴎大学で教授を務める岡田晴恵さん。作家・林真理子さんとの対談で意外な一面を明かしてくれました。
※【岡田晴恵「『コロナの女王』は嫌だった」 コロナ禍のテレビ出演語る】より続く
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林:自殺する人が夏から秋の初めにかけて増えましたよね。これが感染症の恐ろしいところですけど、気分を明るくするためにご自身でされていることはあるんですか。
岡田:私、社交的じゃなく、遊びにも行かないで、ずっと仕事しているタイプです。仕事が趣味ですかと聞かれます。でも、「サカナクション」の山口一郎さんの歌詞が好きで、彼らの曲が大好きです。それを聴きながら原稿を書いたりします。それがストレス解消でしょうか。
林:ロックバンドですね。
岡田:はい。「モス」という曲があって、それを大音量で聴く、精神的に大変なときは、それが救いです。サビの部分で「マイノリティー マイノリティー」って歌うんですけど、私っていつもマイノリティー(少数派)だなあと。感染症の対策も政策も、いつも言いだしっぺで先に先に言うから「あおり」って言われる。でも、早く言わないと対策は間に合わない。「負けるとわかってたんだ」という詞はウイルスに負けていると悲しくなりますが、メロディーが何か勝てるような気持ちにもってってくれるんです。
林:今度聴いてみます。先生、何だかお話していると、感染症のシミュレーション小説だけじゃなくて、ロマンチックな恋愛小説なんかも書きそうな感じがしますよ。
岡田:私、2008年に日本ペンクラブで講演したことがあって、壇上から降りたときに眉村卓先生が「岡田さん、あなたは、今度は小説家でここに立てる、絶対に」とおっしゃってくれたんです。それから10年たって、まだ科学書ばっかり書いています。
林:小さいころから本が好きで、文学作品とかいろんな本をお読みになってたんですか。
岡田:うちは母がすごく厳しくて、「テレビもダメ。遊びに行くのもダメ。勉強しなさい」みたいでしたので、家で本ばかり読んでました。文学書は総なめみたいな感じで、小学校の5年生ぐらいで司馬遼太郎を読んでいたという変な子だったんです。