――交際は順調に進まなかったんですか?

数カ月は楽しい日々が続きました。私にとって母親だけではなくて、女性としてもいられる貴重な時間だったので幸せだったと思います。でもある日、彼から「会いたい」と連絡があって、私は「いいよ。リリ(娘)もいるよ」と答えたんです。そしたら彼は「じゃあ、いいや」って……。未練があるわけではなくて……。言葉で表すなら「悔しい」なんです。以前の私なら、「結局、男はやりたいだけじゃん」、「ふざけんな」と怒って終わりだったと思います。でも、「そんな男でも笑って『子どもを預けるから』と言ってしまう、『ごめんね』と謝って男に会いに行ってしまう母親はいるだろうな」と感じてしまったんです。それが本当に悔しかった。

――一部のシングルマザーに降りかかる不幸の原因のひとつは男性側にもあるということですね。

これまで私は自分のことを「強い女」だと思っていましたし、いまでもそう思っています。でも、そんな私でさえシングルマザーになって気持ちに変化が訪れました。みんながみんな強いわけじゃない。でも現実的に考えて「やりたいだけの男」が減ることはないですよね。だったら何か少しでも助けが必要なシングルマザーのフォローができるようなことをしよう、バカな男やうまくいかない毎日を見返してやろうと思ったんです。

――では、具体的にどのようにプロジェクトを進めていくのか、その詳細を教えてください。

さきほど「私はバカじゃない」と言いましたが、ある意味では「本当にバカ」なんです。自覚しています。だから発案は私ですが、プロジェクトを進めるためにいろんな人たちの協力を仰ぎました。教育、医療、不動産など、人脈のすべてを使って、彼らと会い、話をして、プロジェクトのためのチームができあがりつつあります。今はまだ明かせませんが、誰もが知っているような美容外科の経営者や不動産会社の社長などが協力してくれて、彼女たちが住む住居の確保や住んだ後の自立支援も計画しています。

――子育ての互助だけではなく、自立支援も行うんですか?

その予定です。自治体と話し合って協力してもらうことも考えていますし、賛同してくれた企業からの仕事の提供なども計画の一部です。

――あえて言わせていただきますが、加藤紗里っぽくない「真面目なプロジェクト」ですね。

いや、これはマジで進めています。というか、YouTubeもテレビも真面目にやっていますよ(笑)。私らしい計画もあります。例えば、シェアハウスに入居したシングルマザーの希望者には、無料で美容整形を受けてもらおうと考えています。外見を変えることが自信につながるケースもあります。そこから自立を目指してほしい。

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