政敵・石破茂氏が派閥会長の辞任を表明したことで、党内をほぼ“平定”した菅義偉首相。今度は野党と初対決する臨時国会が10月26日に始まる。
【写真】学術会議の任命拒否に深く関与していたと言われる官僚はこの人
菅首相の答弁能力は未知数だ。9月の就任時を除くと、記者会見は外遊中のインドネシアで21日に開いた1回のみ。取材には記者数を制限した「グループインタビュー」の形式で応じるなど、質問される場面をなるべく減らそうとしているように見える。背景には菅首相の「ボキャ貧」問題があると語るのは、地元政界関係者だ。
「秋田の人というところもあるのか口が重いからね。しゃべるのが下手で、シャイで朴訥なところが良さ。野党側からしたら今後、国会で菅さんをしどろもどろにする作戦をとるんでしょうね」
待ち構えるのは衆参両院で150人に拡大した最大野党の立憲民主党。人数が増えて質問の持ち時間も増えた。「日本学術会議」の任命拒否問題などを厳しく追及していくことになる。同党の川内博史衆院議員が話す。
「官房長官の時の会見は一問一答で『その指摘は当たらない』と言えば済んだかもしれないが、国会答弁はそうはいかない。追及され、厳しい局面に立たされると思います。真相を正直に答えれば何の問題もないでしょうが、ごまかしたり、ウソをついたりしたら顔に出ると思いますよ」
菅首相を待ち受ける課題の筆頭は、やはり学術会議問題。菅首相がグループインタビューで「推薦段階のリストは見ていない」と発言したことなどが追及されそうだ。立憲民主党で国対委員長を務める安住淳衆院議員がこう語る。
「見ていないとすればこんな重要なことを官僚に任せきりにしていたことになるし、見ていたのなら虚偽の発言をしたことになります。予算委員会で本人から直接話を聞こうと思っています」
ただ、野党がどんなに追及しても、 菅首相がこれまでしてきた以上の説明に応じることはないとの観測もある。菅氏に近い政界関係者はこう話す。
「菅さんは既得権益をどんどん壊し、改革をしていこうとしているんですよ。頑固な人だから、一度言ったら撤回しませんよ。自分の言ったことを曲げたら、野党からつけ込まれるだけですからね」