「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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中国政府が、国内のコンビニ店舗数を2022年までに現在の倍以上にあたる30万店舗にまで増やす計画を打ち出しました。背景には、新型コロナウイルスの感染拡大時に、食品や日用品を提供する場としてコンビニが注目されたことがあるようです。
ローソンは1996年7月に上海に中国1号店をオープンさせて以来、24年が経ち、今年10月13日に3千店舗を突破しました。これにより、中国本土における日系コンビニの中での店舗数が最大規模となりました。この倍増計画をローソンに当てはめて単純計算すると、22年までに6千店舗にすることになります。このスピード感であれば、日本国内の店舗数を超える日もそう遠くないかもしれません。
コロナ禍では、リモートワークや休校などの影響で売り上げは減少しましたが、学校が再開され、ウイルスが落ち着いてからは人の動きも活発化。上海などでは8月後半から日販が大きく回復しています。各地で宅配サービスの導入も好調で、前年比110%超の売り上げ増となった地域が出てくるほどです。
中国全土でのコンビニへの期待は大きなものを感じます。実際、中国政府の方から新しい地区への出店依頼もいただいています。
7月には、江蘇省にローソンとして中国初のプレハブ型店舗をオープンさせました。店舗の移動や再設置が可能で、建設現場や駐車場などにも店舗拡大ができるようになりました。常に発展している中国で、プレハブ店舗の需要にも可能性を感じています。
一方、中国では、お弁当やベーカリーといったオリジナル商品の工場や低温管理された物流を自ら整備しないといけないエリアもあります。運営や商品、店舗開発、そしてバックオフィスが四位一体となってローソンクオリティーを保ちつつ、中国進出を強化していきたいと考えています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2020年11月2日号