阪神タイガースの上本博紀内野手(34)も今季限りで戦力外通告を球団から受けていることがわかった。阪神一筋12年で選手会長まで務めた阪神の主力選手だった上本。すでに抑えの切り札だった藤川球児投手(40)、2000本安打を記録した福留孝介外野手(43)、エース格だった能見篤史投手(41)の退団も決定的となり、一気にチームの顔が消える。
「若手が育ってきたので、もう活躍の場がない。ちょうど、これまで支えてくれた選手と新しい戦力を入れ替える過渡期だ」と球団関係者はいう。
10月30日時点で阪神のチーム成績は3位、勝率も5割を上回り、Aクラスをキープ。コロナ禍とはいえ、これほど一気にチームの中心選手が消えるような状況ではない。
「これまで阪神さんは特別扱いだった。阪神さんでこれまで通り、好きにやってくれと。しかし、もうそういう時代じゃないってことだ」
こう話すのは、2006年に阪神電鉄を子会社化した阪急電鉄の幹部だ。阪急電鉄もかつて阪急ブレーブスの親会社だった。しかし、同じプロ野球チームでも阪神タイガースは球界では“別格”だったという。
「いい話は10倍、悪い話は100倍で阪神の場合は報じられ、伝わっていく。いい話ばかりだとプラスだが、悪い話が一つあれば帳消し。それが株価やグループの利益にすぐに反映してくるのが、阪神の凄さ。阪急ブレーブスの時代にはなかった。今は、うちの傘下にある阪神。こちらの意向もしっかり伝えて、口出しする時代がやってきたということ。とりわけ、2度も選手が集団で新型コロナウイルスに感染したことが大きい。『選手から感染者が出て、阪急や阪神に乗るとコロナになる』なんてデマが広がってしまう。野球は別格とやっていては、グループ全体に影響するし、株主さんも承知しない。コンプライアンスを重視して、阪神もしっかりと成果主義で行かないとダメですよ」(前出の阪急幹部)