ウィズ・コロナの時代でも、ここまで感染対策を徹底すれば国際大会は開けるという実感があります。
大会会場のドゥナアリーナは国の施設で、リオ五輪で女子個人メドレー2冠など金3個、銀1個を獲得したカティンカ・ホッスーらハンガリーのトップスイマーの練習拠点としても使われています。コロナ禍でも海外から選手を受け入れて国際大会を開くためには、スポーツを振興する政策の裏付けが必要でしょう。国民の理解も不可欠です。大会の運営から学ぶところがたくさんあります。
来年の東京五輪で勝つためには、練習だけしていればいい、というわけにはいきません。海外のライバルの実力を知るための実戦経験が重要です。東京で国際大会を開催することが難しい現状では、海外に出て試合経験を重ねるほかありません。ところが、五輪に向けた強化のために海外に出た選手は帰国後2週間、味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)が使えなくなってしまうのです。PCR検査で陰性が確認できれば施設を利用できるような態勢を早急に整えてほしい、と思います。
行動に制限があるとはいえ、指導者にとっても国際大会は大きな刺激になります。感染拡大防止対策も含めて、日本の水泳の強化につながることを貪欲に吸収してくるつもりです。
(構成/本誌・堀井正明)
平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる──勝負できる人材をつくる50の法則』(朝日新聞出版)など著書多数
※週刊朝日 2020年11月13日号