コロナ禍のオンライン化の波は、海外インターンにも及んでいる。現地にいないので仕事は限られるが、オンラインならではのメリットもある。AERA 2020年11月23日号から。
【Zoomで日本から参加 カンボジアのインターン受け入れ先企業のミーティング風景はこちら】
* * *
「海外インターンの中止が決まったあと、2、3日は何も手につきませんでした。高校時代から照準を定めてきましたので。すでに荷造りを始め、予防注射も12本打っていました」
そう語るのは、今年4月からベトナムで半年間、インターンシップを予定していた関西学院大学3年の伊藤励さん(21)だ。新型コロナウイルスの感染拡大で、3月下旬、中止が決まった。
伊藤さんが開発途上国の問題に関心を持つようになったのは、高校2年のときカンボジアを旅行したのがきっかけだ。参加したいインターンのプログラムがあることから関学に進学。中学、高校は運動部だったが、大学ではインターンに選抜されるため、国際社会貢献の勉強に専念した。
中止が決まったあともインターンをあきらめられなかった伊藤さんは、4年時に休学することも考えた。そんなとき見つけたのが、“オンライン”による海外インターンだ。自宅で携わることができる。カンボジアで事業を営む日系商社が募集していた。希望していた新規事業の立ち上げに関われることもあって、すぐさま応募した。面接を経て4月末から仕事に就いた。
「大学の講義をかためて取り、授業のない日を2日作り、土曜日も加えて週3日を就業日にしました」(伊藤さん)
■60社以上からオファー
最初は会社の事業内容を把握するのに必死だった。朝から上司とZoomをつなぎっぱなしにし、わからないことがあれば尋ねた。間もなくしてカンボジアの情報サイトの運営を任され、さらに観光客の途絶えたカンボジアのホテルを有効活用するワーケーションの事業に従事。現地スタッフと営業活動をした。
「現地に割安で電話できるアプリがあって、それを使い日本からも電話営業しました」
4カ月のインターンでの収穫は自身の課題がわかったことだ。
「新規事業を立ち上げられるようになりたいと思いましたが、発想するためのスキルが足りないことを実感。インターン終了後、思考法の講座を受講したりして勉強しました。同時に、現場にいることの重要性もあらためて感じました」