

長くマンションに住み続けたい居住者は増えている。一方で、修繕や改修が実施されていないマンションは、老朽化が急速に進むもの。マンションに永住するためには、どんなタイミングで、何を考えていけばいいのか。「資産価値を守る!マンション管理・修繕・建替え大全2021」(週刊朝日MOOK)から、抜粋して紹介する。
【グラフ】永住意識は右肩上がり!国土交通省の調査結果はこちら
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マンション居住者の高齢化が進み、永住志向が高くなっています。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」によると、世帯主の年齢が70歳代以上の割合が増加する一方、30歳代以下が減少しています。
また、現在のマンションに永住するという居住者の割合は2008年49.9%、13年52.4%、18年62.8%と増加しています(図表A)。こうした傾向は今後も続くと考えられます。
その一方で04年から20年までの間に建て替えられたマンションは、準備中を含め300件足らずです(国土交通省「マンション建替えの実施状況<令和2年4月1日現在>」)。
建て替えられたマンションの多くは容積率に余裕があったため、従来よりも大きな建物をつくり、それを売却することで事業費を生み出すことができました。区分所有者たちは自己資金ゼロ、あるいは少ない費用負担で新しいマンションを手に入れることができたわけです。
■高まる永住志向の裏に建替えの難しさあり
別の見方をすれば、ほとんどのマンションは容積率をフルに使って建てられていますから、建替えをする場合には費用を区分所有者が負担しなければなりません。
建替えには管理組合総会で区分所有者の5分の4以上の賛成が必要です。さまざまな事情を抱えた区分所有者の意見をまとめることは困難です。永住志向の高まりの背景には、建替えを目指すことが難しいという現状もあります。そこで建替えせずにマンションを長持ちさせ、「100年マンション」を目指すといった動きも増えています。