


マンションにつきものなのが「大規模修繕」だが、築20年未満が多く、2回目の大規模修繕工事を実施したタワーマンションはまだ少数。1回目より重要な2回目の注意点は何か。組合の理事に選任されて困っている人や、運営に頭を悩ませている人の悩みに応える「資産価値を守る!マンション管理・修繕・建替え大全2021」(週刊朝日MOOK)から、抜粋して紹介する。
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タワーマンションについての明確な定義はありませんが、マンションのデータを調査、発表している不動産経済研究所は、地上20階以上を「超高層マンション」として集計しています。マンションのワンフロアは3メートル程度あり、高さ60メートルは20階に相当することになります。
建築基準法などでは高さ60メートルを超える建物は、一般の建物に比べて安全性などについて厳しい制約が定められ、たとえば構造の耐震性について国土交通省の大臣認定を受けることや、航空障害灯を設置することなどが義務づけられています。
日本で最初のタワーマンションが登場したのは1970年代です。本格的に普及し始めたのは90年代後半に容積率の上限や日影規制が緩和されてからで、2000年代に入って急増しました(図表A)。
■タワーマンションの修繕技術は発展途上段階
タワーマンションの多くは築後20年未満です。築後12年程度を目安に行われる1回目の大規模修繕工事を経験したタワーマンションは増えていますが、2回目実施はまだ少数です。
一般のマンションについては2回目、3回目の大規模修繕工事を経験したところが多数ありますから、修繕だけでなく改修工事についての技術やノウハウが豊富に蓄積されています。
しかし、タワーマンションの大規模修繕工事の技術やノウハウはハード・ソフトともに経験が乏しく、いわば発展途上の段階にあります。対応できるコンサルタントや施工会社も限られています。自分たちの経験を伝えることができる管理組合も少ないのが現状です。