これまで腎がんの手術は、脇腹を20センチほど切開する、開腹手術による根治的腎摘除術(全摘)が主流だった。しかし、現在ではまだ先進医療や保険の認可は降りていないが、腎がんの部分切除ではロボットによる腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術が有用だという。この方法の第一人者であり、腎移植も手がける、神戸大学泌尿器科診療科長の藤澤正人医師(同大教授)に聞いた。

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 偶然見つかる早期の腎がんが増えているので、部分切除の症例はこれからさらに増えていくでしょう。

 手術の方法としては開腹手術と、腹腔鏡下手術、ロボット手術(腹腔鏡下支援手術)がありますが、小さな腎がんであれば、開腹手術は減ってきています。腹腔鏡下手術による部分切除は切除・縫合に高い技術が必要ですが、患者さんのからだの負担が少ないため、今後、より広がっていくと思われます。

 腎がんのロボット手術はまだ自費診療なので高額ですが、ここ数年のうちに部分的に保険がきく先進医療になることが望まれます。この手術は、術者がモニターを見ながら遠隔操作で実施します。操作性が高く正確なため、切除や縫合も容易です。切除がむずかしい部位でも短い阻血時間で手術が可能で、腎機能の温存に有利です。今後はロボット手術による部分切除が増えるでしょう。

週刊朝日 2013年2月22日号