米Twitter社の技術担当者が言及したとある機能が、日本でも議論を呼んでいる。問題となっているのは「嫌いボタン」の追加。「模索している」と投稿しただけだが、日本のユーザーの間では否定的な声が大きくなっている。その背景を精神科医で立教大学教授の香山リカさんと一緒に考えた。
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「話題の嫌いボタン導入されたらTwitterやめるかもしんない…メンタルもたない」
「導入しないでほしい。もしそうなったらしんどいからTwitterやめる」
「好きな人とか尊敬する人に『嫌い』がついていたら、すごくショックだからTwitterやめる」
ネット上でにわかに目立つようになった「Twitterやめるかも」という声。きっかけは、米Twitter社の開発担当者が11月18日、「嫌いボタン(dislike button)」か 「反対投票(downvote)」の機能追加を模索していると明らかにしたことだった。別の人の提案に答えるかたちで、投稿した。
これがニュースとして日本のメディアで報じられると、瞬く間に拡散。多くのユーザーが拒否反応を示しているのだ。
誰でも自分の意見が賛同を得られなかったり、発言を否定されたりしたらあまり気分はよくないもの。「そんな機能はいらない」というのは、ユーザーの当然の反応ともいえる。一方、Twitterの開発担当者に「嫌いボタン」を提案した人は「テクノロジー産業に従事する有色人種の女性」として「Twitterを悪用するような人たちへの対応に疲れた」とも投稿しており、他人を否定する意図はないのかもしれない。
香山リカさんは次のように話す。
「(本当の意図はどうであれ)実際には開発の意図とは違う使われ方をされてしまうというのを、若者がよくわかっているのだと思います。いまSNSは、賛否を表明したり、共感を示したりと、意見を交わすためというよりは、匿名性をいいことに他人を攻撃するような使われ方をしている。発言の内容に関係なく、片っ端から特定の人の投稿には『嫌い』を押していくことも考えられますよね」