高齢者の新型コロナウイルス感染が増加している。第3波では患者の重症化と治療の長期化が懸念される。AERA 2020年11月30日号から。
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「11月に入って2週間で、コロナ病棟は一気に臨戦態勢に変わりました」
11月17日、新型コロナウイルスの入院患者を受け入れている東京都内の病院で副院長を務める50代の医師はこう語った。コロナ病床16床のうち14床が続けざまに埋まったのだ。
「病院近くの特別養護老人ホームでクラスターが発生して、80、90代の高齢者が入ってきました。同じタイミングで、ある病院で院内感染も起こり、患者が転院してきました。高度治療室で人工呼吸器管理が必要な重症者や透析患者もいます。第3波がきたと思いました」
この病院では、今年春から新型コロナ患者を受け入れてきた。
「第1波とされる4、5月も、コロナ病床は埋まり、忙しかった。けれどもその時は、無症状者や軽症者も入院していた。無症状だと急変のリスクが低く、治療やケアの手間もかからないから、忙しくてもまだよかった。第2波とされる夏以降に増えた若い患者は体力があり、短期間で退院するケースも多かった」
■中高年の感染者増えた
10月の2週目の3日間だけ、入院患者がゼロになり、その後は4、5人が続いた。そして、11月上旬、感染患者が急増した。
「以前と違うのは、入院患者に中高年が増えたことです。介護施設や病院で集団で感染しているため、すぐに病床が埋まります。多くの患者に基礎疾患があり、中等症が増え、重症化の恐れがある。治療期間が長くなるので、とても10日では退院させられません」(副院長)
医療体制はいま、どの程度逼迫しているのか。厚生労働省が週に1回発表するコロナ病床使用率によると、東京都は27%、うち重症者向けは31%を占める。大阪府の使用率は33%、うち重症者用は26%。宮城県の使用率は19%、うち重症者用は14%(11月11日時点)。病床使用率は多くて3割で、まだ余裕がありそうに見える。