それでもつき合いをつづけているのは、「結局は好きなんですよ、あこがれているところもある」というAさん。その人の言動に問題があったとしても、それは人その人のごく一部、つき合いをやめたりする原因にはならないということのようだ。
友人たちの生き方を見て同じ女性として引っかかるものを感じると話してくれたのは、Dさんだ。高校のときのクラスメイトからなる仲良しグループの付き合いがつづいているが、30歳という年齢もあって、すでに結婚をして子どもがいる人もいれば、婚活中の人もいる。
「私に結婚願望がないからというのもありますが、結婚して家庭に入る友人を見るとなんだかモヤモヤするんです。私たちの母校は進学校で、同級生の女子もそれぞれ有名大学といわれるところに進学しました。大学卒業後もたくさんの選択肢があったはずなのですが、特にキャリアを築くわけでもなく早くに結婚し、仕事も辞めて専業主婦に。一度『夫の経済力だけに頼らないほうがいいんじゃない?』といってみたのですが、あまり響いた感じでもなかったです」
それでも友人たちのことを嫌いだとか、なんとか理解させたいとか、そういう気持ちにはならない。
「残念だとは思いますが、友だちといえど私とは別個の人間だし、私とは違った生き方で当然だと思います。その一方で、母になった友人を素敵だなと思うこともあるんです。子連れでランチしたときに、食事をしながら子どもの世話をしている彼女を見ると、自分が知らない顔をしていました」(Dさん)
■ジェンダーバイアスと女の友情
『fishy』で交わされる会話のなかには、それぞれのジェンダー観のちがいが表れているものが多い。仕事、結婚、恋愛、婚活、子育て……ジェンダーバイアスはどこにでもあるが、そこに適応して生きている女性と、取り込まれないよう努めて生きている女性とでは、基本的に話はかみ合わない。
夫の不倫に気づき泥沼状態の弓子と、目下不倫中の上に借金まで抱える美玖は、人生の岐路に立っている。そんなときにこそジェンダーバイアスは際立つものだろう。男性社会に適合しすぎた生き方が、自分の首を絞めてしまうこともある。とても生きづらい。そんな現実を前にしたふたりに、インテリアデザイナーのユリは正論を浴びせる。