その後も、大学病院の皮膚科で保険適用外の治療に10万円ほどかけたり、また別の高級美容クリニックで注射を打ったりしましたが、一向に治らなかった。いくら生活を切り詰めて治療に通っても改善しないストレスで余計肌荒れが悪化するという悪循環でした。不安を抱えながら通い続けるのは辛かったですね。
―総額はいくらくらいですか?
90万円くらいです。最後に行ったのは、ある有名なクリニックでした。カウンセリングで「この肌は綺麗には治りません。あなたの理想までは届きませんが、このラインまでなら治せます」と医師にきっぱり言われたんです。これまでのクリニックの先生はカウンセリングでは「全然キレイになりますよ」と断言していたんですが、その医師はじっくり僕の治療遍歴や理想像を聞いたうえで、事実を正直に伝えてくれた。そういう冷静な見解を聞けたことが、僕にとっては良かったのかもしれません。カウンセリングでハッとして、治療は受けずに帰ったのですが、それからとたんにニキビが出なくなってケロイド跡の炎症も少なくなりました。諦めがついて肌のことを気にするのをやめた瞬間に、精神的なストレスがなくなったんだと思います。
―それだけ精神的な負担が大きかったということですね。
そのカウンセリングをきっかけに症状がよくなっていくと同時に、26歳でモノマネ番組のオーディション用にメイクを始めたことも大きかったです。コンシーラーやドーランを使うことで肌荒れもニキビ跡も隠せることに気付き、より「肌悩み」から解放されました。
―木村さんのモノマネがきっかけだったんですね。どのようにして今につながるメイク技術を体得したのでしょうか。
最初は木村さんのキレイな日焼け肌に合わせるためにコンシーラーやドーランを塗ることからはじめ、徐々にアイブロウやアイライナーで眉毛や二重ラインも描き足すようになりました。始めのうちは自己流でやっていたんですが、楽屋で僕のメイクの仕方を見た女性芸人に「下地塗らないの?」って言われて(笑)。一般女性が知っているような知識もなく「下地って何?」状態だったんですが、オススメを教えて貰っていろんな製品を試しました。