社会人のプログラミングやAIの学習に注目が集まっている。学ぶのは、テクノロジーとは縁遠かった業種や職種の人たち。背景に、コロナ禍もあって急速に進むDXがある。AERA 2020年12月7日号の記事を紹介する。
【写真】テックキャンプ受講で得たプログラミングなどの知識を武器に、新たな試みを始める同僚の西川さん(左)と渡邉さん(右)
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「オフィス2384」(東京都渋谷区)の西川英一さん(38)は、アプリ制作を依頼した会社から提示された見積もりに目を疑った。見たこともないほど0(ゼロ)が並んだ見積額は「1億円」だった──。
オフィス2384はPRイベントの企画・運営などを担う、社員5人の会社だ。ある時、西川さんは、イベント会社と音響や照明などのフリーランス人材をつなぐ、ダイレクトマッチングサービスを思いつく。これまでイベントスタッフは、仲介者を通じて依頼することが多く、手順も煩雑だった。アプリで直接やりとりできるようになれば、ぐっと便利になるはず。意気揚々と制作会社に必要な機能を伝えて見積もりを取ったところ、提示されたのが先の「1億円」。もちろん話は頓挫した。
「『うちの会社概要見てから、その金額言ってます?』って(笑)。でも、足元を見られた金額なのかも、知識がない僕らには判断できなかったんです」
元々数年前から、イベント業界に押し寄せるDX(デジタルトランスフォーメーション)の波を感じていた。これまで人が数えていた展示会の来場者数も、今やセンサーで瞬時に把握可能に。テクノロジーを持つ会社と渡りあうためには、知識を身につけなければ自分たちに未来はない。そう痛感した矢先、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった。
■新価値を生み出したい
五輪関連イベントなどで埋まっていたスケジュールは、3月以降、ほぼ白紙に。オフィスには、毎日のようにキャンセルの電話が入り、売り上げは9割減まで落ち込んだ。しかし「一時休業もやむなし」との予想に反し、社長は3千万円を借り入れ、社員の給料を払い続けると約束してくれた。心に火がついた。何とかこの会社で新しい価値を生み出したい。そこで門を叩いたのが、プログラミングスクールだった。