テクノロジーとは縁遠かった業界・職種の人たちが、プログラミングやAI(人工知能)の知識を身につけようとする動きが広がっている。5月、エンワールド・ジャパンがグローバル企業の社員約4600人にアンケートしたところ、約7割がコロナ禍で「キャリア意識が変化した」と回答。うち半数が「スキルアップのための学習を始めた」といい、英語(全体平均62%)に次いで人気があったのが、プログラミング(同22%)だった。

 西川さんたちが受講した「テックキャンプ」も、今年6月の問い合わせ数が、2014年のサービス開始以来最多に。運営するdiv(ディブ)取締役の新保麻粋(しんぼ まいき)さん(29)によると、以前は起業したい人の受講が多かったが、16年ごろから業種や役職を問わず、受講者の幅が広がってきたという。

「以前は1クラス50人のうち、女性は1、2人でしたが、今では2、3割を占めるようになりました。キャリアアップを目指す営業職が多く、理系より文系のほうが多い傾向にあります」(新保さん)

■本質は問題解決だった

 テックキャンプの学習には、主に二つのコースがある。一つが、エンジニアへの転職を目指すコース。本格的なプログラミングの知識を身につけ、未経験からの転職を目指す。

 もう一つが、プログラミングのほか、AIやウェブデザインなど、テクノロジーに関して幅広く学べる「教養コース」だ。「エンジニアと円滑にコミュニケーションがとれるようになりたい」といった理由で受講する人が多いという。

 西川さんは9月から、同僚の渡邉大地さん(27)と、転職コースの内容をベースとした法人向けコースを受講。3カ月間1人約80万円。平日毎日10時間の授業はきつかったが、安くない授業料を負担してくれる会社を思うと、身が引き締まった。

「最初は『わけわかんないな』という感じでした」と渡邉さん。しかし、「暗記は必要ない」と気づいてから気が楽になった。ゼロから自分でコーディングしなくても、他のサイトのコードを参考にして、自分のサイトに合わせるなど、様々な解決法があると知った。

「プログラミングの本質は問題解決だな、と。最終的に作りたいものが作れればいい。そのための課題解決力や、動かない理由に仮説を立てる力が大事だと気づきました」(渡邉さん)

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