あー、それティーンのハートをわし掴(づか)みしちゃう世界の中心で愛を叫んだりするやつ。もうね、同居しててもエロいこととか全然ないんですよ。
彼は毎日バス停まで彼女を送り迎えして、手をつなぎ2人で歩く。夕ご飯は彼がホイコーロー作ってくれて、ギター弾いて、手作りケーキあ~んして、指輪をプレゼントしてくれて、一緒にベッドに寝たら「おやすみ」って囁(ささや)き合ってグー。女子中学生の夢小説か!
いや、タイトルが「猫」なんだから、これは猫ファンタジーでは? もしかして人間の男ではなく、彼は猫。死の間際、野良猫と暮らす彼女が、紡ぎ出した愛のドリームなんじゃない?
猫だって頑張ればホイコーローの一つや二つ作れるよね、岩合さん! と、思って見てたら、3話のラストでいきなり彼がトラックにはねられて死んじゃったんですけど。
「光司は死んでしまった。私より先に」
えーっ、ドラマにもすごい勢いで置いてけぼりにされてますか、私。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2020年12月18日号