オンライン選考の拡大、一部業界の採用中止……。新型コロナウイルスの感染拡大で、大学の就職支援体制は大きな変革を迫られた。就職力を維持するため、各大学はどのような取り組みをしているのか。就職企業人気ランキング上位校を中心に取材した。
* * *
「コロナ禍では自分から『会いたい』とは言いだしづらかった。OB訪問など、いろんな人から話を聞ける機会がもっとあればよかった」
今年度の就職活動について、早稲田大学文化構想学部4年生の女性は振り返る。30~40社を受け、地方新聞社から内定を得た。選考は最終面接を除き、ほぼ全てオンライン。感じの悪い面接担当者に当たると、それだけで入社意欲が削がれることもあった。
「会社に足も運ばず、面接だけで会社の印象が決まってしまう。今思えば判断材料が少なかった」
就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアの研究機関・就職みらい研究所が実施した就職プロセス調査(2021年卒業者対象)によると、今年度の就職内定率は10月1日時点で88.7%。前年度同月比で5.1ポイントの減少となった。
同研究所所長の増本全さんが指摘する。
「新型コロナ感染拡大の影響から採用計画が崩れ、学生・企業・大学ともに波乱続きの一年でした。特に影響が大きかったのは、企業の就職・採用活動の時期が遅れたことです」
同社は2月20日、44都道府県で開催を予定していた合同企業説明会の中止を発表。4月には緊急事態宣言が発令され、選考時期を遅らせたり、面接を対面からオンラインに切り替えたりする企業が続出し、対応しきれない大学が相次いだ。
学生向け就職情報サービスを提供するディスコが全国の大学455校の就職課・キャリアセンターを対象にした調査によると、コロナ禍における就職支援の課題として「学生の就活状況の把握が困難」という回答が最多(75.0%)だった。そのほか、「学内企業説明会の中止(延期・規模縮小)による出会いの機会損失」(69.9%)、「キャリアセンターからの情報発信手段が限られる」(54.7%)が続いた。同社調査部門研究員の松本あゆみさんは、こう話す。
「感染拡大と就活のピーク時期が重なった部分もあり、就職活動開始のタイミングでは支援が困難な面もあったのではないでしょうか」
そのなかで、明治大学は4月以降、対面式個別相談をオンライン式に切り替えた。加えて、チャット形式で学生が就職活動の疑問を相談員に尋ねるオンライングループ相談会も実施した。就職キャリア支援部長の舟戸一治さんは振り返る。