「鬼滅の刃」の主人公、竈門炭治郎が描かれたJR九州の特急かもめ。鬼滅コラボが日本中にあふれた
「鬼滅の刃」の主人公、竈門炭治郎が描かれたJR九州の特急かもめ。鬼滅コラボが日本中にあふれた

 劇場版が公開から66日間で興行収入311億円を記録し、歴代1位記録も目前に迫る勢いの「鬼滅の刃」。

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 その社会現象的人気は、年が明けても収まることはなさそうな雰囲気だが、人気コンテンツの常として、その人気への「あやかり」「のっかり」も、数多い。

 お菓子や食品など正式なライセンスを取得しての「コラボ」商品も数々登場し、それぞれ好調な売上をみせている。たとえば竈門炭治郎ら人気キャラクターをプリントしたコラボ缶コーヒーを発売し大ヒットしたダイドーは、21年1月期の連結純利益予想を5億円から25億円に上方修正した。ロッテのビックリマンチョコとコラボした「鬼滅の刃マンチョコ」も入手困難になり、高額で取引されるような事態も巻き起こった。

 正式な許諾を得ていなくても、緑と黒の市松模様をあしらったマスクやハンカチ、衣類、登場キャラの竈門禰豆子が口に加える竹をイメージしたちくわやようかんなど、「鬼滅っぽい」雰囲気をかもし出す商品が世にあふれかえっている。

 この「あやかり」「乗っかり」現象について、マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は、

「乗っかることを、マーケティング用語で『バンドル戦略』といいます。小売りの『セット販売』がわかりやすい例で、相乗効果を狙う手法です」

 と読みとく。

「ブームへの『乗っかり』は昔からある現象ですが、ライセンスビジネスの王道としての正式なコラボやブームに自ら便乗しようとする意図的なバンドルと、偶然、昔からあった緑と黒の市松模様の製品や、たまたま『竈』の文字がついた神社などに注文や人が殺到し意図せずバンドルとなったもの、2種類が存在します。著作権に厳格なアメリカだったらすぐに訴えられるかもしれない『乗っかり』も、あたたかく容認する懐の深さは日本ならではだと感じます」

 そんななか大きな注目を集めたのは、「鬼滅の刃」と同じく「週刊少年ジャンプ」の人気連載であった「銀魂」だ。

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作品を越えた交流は少年ジャンプの「伝統」