“これぞテレビ”と思った番組の話からテレビ番組に必要なのは“愛”である――お笑い芸人・カンニング竹山さんが2020年のテレビを総括する!
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今年1年コロナだったんで、うまくいかないことも多かったんですけど、テレビで何が面白かったかなと思っていて、テレビを全て見てチェックしたわけではないんですけど。バラエティ番組において“これこそテレビだよな”って思ったのが、先日放送された「ロンドンハーツ」(テレビ朝日)の「太夫フェス」。(註※「太夫フェス」とはFUJIWARAの藤本敏史が白塗りをして様々な太夫になり、ドラマ「半沢直樹」のパロディ「太夫沢直樹」を演じたり、NiziUの替え歌「Dayu Project DaU(ダユー)」の縄跳びダンスをしたり、最終的にお笑い芸人・小梅太夫の車で……と放送後ネットの書き込みなど高評価だった。)
あの企画、“テレビだなぁ”と思ったんですよ。ものすごいくだらないことをやっていたじゃないですか。藤本さんも縄跳びダンスとか一生懸命練習して、ドラマもものすごく稽古して。スタッフもめちゃめちゃ金かけて、ドラマ「太夫沢直樹」もちゃんと撮って、きちんと見せているじゃないですか。あのパロディもドラマ班が撮っているんですよ。そういうことをきちんとやっている。実はこういうことがテレビなんだろうな。誰しもが嫌な気持ちにならない番組だった。藤本さんが「なんでやねん、この番組!」とか言っていたけど、そうは言っても完璧に稽古してきているわけだし(笑)。笑かしたろうというのがあったし、見ている方も面白かったと思ったし、スタッフも苦しみながら楽しみながら作っていたと思うんですよね。
いかに、すごくくだらない事に一生懸命になって、お金も使って本気でやるってことが、もしかしたらバラエティ番組なのかもしれない、お笑いってそういうことだなと思った。今どこの会社もお金がないからできないのかもしれないけど、テレビはそれをやっていかないといけないとも思った。YouTubeなどの動画にもそれ固有の良さはあるんだけど、テレビの本気が見えたのは「太夫フェス」だと思ったんです。