で、いろいろあったけど、「アメトーーーク」での一件落着以来、水に流したつもりではあったが、心に小さな棘が刺さっていたのは事実。

 あのころの西野君は、「はねるのトびら」や人気番組に出演していたものの、自分の本当の立ち位置を探すため、もがきまくっていたんだと思う。もがいたことにより、SNSで炎上することも結構あった気がする。

 僕はよく思うのだが「イタさと才能をアピールすること」って一緒のところにある。どんなに才能のある人でも、それを世の中に届けることが出来なければ、それは才能とされない。

 その才能を届けるために自分でアピールしていく。このアピールが人によってはイタく見える。

 イタいとは言ったが、そういう時って、人は心のどっかに自分ができない小さな嫉妬心みたいなものを抱いているのだと思う。だから「あいつ、イタいよね」と自分の中で処理してしまう人も多い気がする。

 西野君はあの前後あたりからもがき続けて、何年ももがいて、結果を勝ち取って来た。その行動力と出した結果を見てきて、素直に「すごいな」と思ってはいたが、自分の中の心の棘はとれていないのは否めなかった。

 そして2カ月ほど前。僕は息子と映画館に行くと必ず今後公開する映画のチラシを見て、見たい映画のチラシを取っていく。と、息子がそこに置いてあった「えんとつ町のプペル」のチラシを取った。僕が「なんで、それ取ったの?」と言ったら「見たい」と言った。心の中では「なんで、それ取るんだよーーーー」と思ってしまったのは事実だが、確実に息子は食いついた。

 そして先週、映画が公開されるタイミングで僕のラジオに西野君にゲストで来てほしいとお願いしたら来てくれた。多分色々と複雑な思いはあったと思う。そこでいろいろと話せた。

 映画は、僕は息子と一緒に見ることが出来た。

 僕が高校生に講演などをさせていただく時には「人の夢を笑うな」と言っている。今、世の中で星のように輝いて活躍している人たちも、昔は夢を見て、それを口にして、そこに立っている。

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夢は捨てた時点でゴミになる